「初めてフルマラソンに挑戦したいけれど、何から練習すればいい?」「42.195kmを走り切るには、何ヶ月前からトレーニングを始めればいい?」
初めてフルマラソンへ挑戦する人にとって、練習方法やトレーニングメニューは特に気になるポイントではないでしょうか。
フルマラソンは42.195kmという長い距離を走るため、普段ほとんど運動していない状態から、いきなり長距離を走ろうとするのはおすすめできません。
一方で、「初心者だから毎日走らなければならない」「本番前に必ず30km走らなければならない」と考える必要もありません。
大切なのは、現在の走力や運動習慣に合わせて、無理のない範囲から段階的に走る時間や距離を延ばしていくことです。
この記事では、初めてフルマラソン完走を目指す初心者向けに、練習を始める時期、基本的なトレーニング、練習メニューの考え方、ロング走や筋トレ、食事・水分補給、大会前の調整まで詳しく解説します。
なお、年齢、運動歴、持病、過去のケガなどによって適切な運動量は異なります。体調に不安がある場合や、運動中に痛み・強い息苦しさなどの異常を感じた場合は、無理にトレーニングを続けないようにしてください。
- 初心者がフルマラソン完走を目指す前に知っておきたいこと
- フルマラソンの練習はいつから始める?
- 初心者向けフルマラソントレーニングの基本
- 初心者向けフルマラソン練習メニュー例
- 初心者向け|現在の走力別トレーニング具体例
- 初心者は「できた距離」だけで成長を判断しない
- フルマラソン初心者は30km走をやるべき?
- マラソントレーニングで筋トレは必要?
- マラソン練習中の食事と水分補給
- カーボローディングは初心者にも必要?
- フルマラソン大会1週間前の過ごし方
- フルマラソン前日にやること
- フルマラソン当日の朝に確認すること
- 初心者がフルマラソン練習でやりがちな失敗
- フルマラソン初心者によくある質問
- 参加するマラソン大会の情報も必ず確認しよう
- フルマラソン初心者の大会前チェックリスト
- まとめ|フルマラソン完走は「距離」より継続できる準備から
初心者がフルマラソン完走を目指す前に知っておきたいこと
フルマラソンの練習方法を調べると、「3ヶ月で完走」「週3回走れば大丈夫」「30km走は必須」といったさまざまな情報が見つかります。
しかし、すべての初心者に同じトレーニングメニューが当てはまるわけではありません。
まずはフルマラソンという競技の特徴と、自分の現在地を把握するところから始めましょう。
フルマラソンは42.195km
フルマラソンの距離は42.195kmです。
普段5km程度を走っている人でも、単純計算ではその8倍以上の距離になります。
しかも、本番では距離だけでなく、気温、湿度、風、コースの高低差、混雑、給水、補給など、さまざまな要素が走りに影響します。
そのため、フルマラソンのトレーニングでは「42.195kmを走れる脚を作る」だけでなく、長時間身体を動かし続けるための持久力や、疲労を管理する能力を少しずつ身につけていくことが重要です。
「初心者」の走力は人によって大きく違う
ひとことで「マラソン初心者」といっても、スタート地点は人によって大きく異なります。
- 普段ほとんど運動していない人
- ウォーキングはしているがランニング経験がない人
- 週に1〜2回、数km程度走っている人
- 5kmや10kmの大会には参加したことがある人
- ハーフマラソンは完走できるがフルマラソンは初めての人
これらの人が同じ練習メニューを行うのは現実的ではありません。
すでに10kmを無理なく走れる人なら、そこから徐々に走行時間や距離を延ばしていくことができます。
一方、ほとんど運動していない人なら、いきなり5kmや10kmを走るのではなく、ウォーキングや短時間のジョギングから始めた方がよいでしょう。
フルマラソン初心者の練習で重要なのは、他人のメニューをそのまま真似することではなく、「今の自分が無理なくできる運動」からスタートすることです。
最初から42.195kmを走る練習は必要ない
初めてフルマラソンに挑戦すると、「本番前に一度は42.195kmを走っておかないと不安」と考えるかもしれません。
しかし、練習段階で毎回のように長距離を走れば、その分だけ身体への負担も大きくなります。
フルマラソンのトレーニングでは、短めのジョギング、長時間ゆっくり走る練習、休養などを組み合わせながら、段階的に持久力を高めていく方法があります。
本番の距離を練習で完全に再現することより、継続してトレーニングできる状態を作り、本番まで大きな故障を避けることを優先しましょう。
初マラソンはタイムより安全な完走を目標に
初めてのフルマラソンでは、「5時間を切りたい」「できれば4時間台で走りたい」とタイムを意識する人もいるでしょう。
目標タイムを持つこと自体は、トレーニングのモチベーションになります。
しかし、初めて42.195kmへ挑戦する段階では、タイムだけを優先して練習量やペースを急激に上げないことが重要です。
日本陸上競技連盟と日本体力医学会が示す「マラソンに取り組む市民ランナーの安全10か条」でも、計画的なトレーニング、十分な栄養と睡眠、痛みへの早めの対応、体調に不安がある場合には無理をしないことなどが示されています。
特に初心者は、「速く走れるようになること」よりも、まず継続して練習できる身体を作ることを優先するとよいでしょう。

フルマラソンの練習はいつから始める?
フルマラソン初心者が特に気になるのが、「大会の何ヶ月前から練習すればいいのか」という疑問です。
結論からいえば、すべての初心者に共通する「○ヶ月あれば完走できる」という期間を決めることはできません。
必要な準備期間は、現在の運動習慣や走力、年齢、生活環境などによって変わります。
「大会3ヶ月前なら十分」とは限らない
フルマラソンの練習について、「3ヶ月前から始めれば大丈夫」といった情報を目にすることがあります。
すでに定期的なランニング習慣があり、ある程度の距離を走れる人であれば、数ヶ月をひとつの準備期間として大会へ向けた練習を組み立てることは考えられます。
しかし、運動習慣がほとんどない人が、同じ期間で急激に走行距離を増やそうとすれば、身体への負担が大きくなる可能性があります。
「大会まであと何ヶ月か」だけを見るのではなく、現在どのくらい歩ける・走れるのかを基準に計画を立てましょう。
運動習慣がない人はウォーキングからでもOK
これまでほとんど運動していなかった人は、最初から連続して何kmも走る必要はありません。
まずはウォーキングを行い、一定時間身体を動かすことに慣れるところから始める方法があります。
慣れてきたら、ウォーキングの途中に短いジョギングを取り入れ、少しずつ走る時間を増やしていきます。
たとえば、
- ウォーキングを継続する
- ウォーキング+短時間のジョギング
- ゆっくりしたジョギングの時間を延ばす
- 無理なく走れるようになったら距離を意識する
- 徐々に長時間のランニングへ移行する
というように、段階を踏んで進める考え方です。
最初から「10km走らなければ」と距離だけを目標にすると、必要以上にペースを上げたり、疲れても無理をしたりしやすくなります。
初心者の初期段階では、距離だけでなく「無理なく身体を動かし続けられた時間」に注目するのもひとつの方法です。

すでに走っている人は現在の走力から計画する
すでにランニング習慣がある人は、現在どの程度の距離・時間を無理なく走れるのかを確認します。
「10kmを走れるから、次は一気に20km」というように距離だけを急激に増やすのではなく、体調や疲労の回復具合を確認しながら練習を組み立てます。
また、毎回長距離を走る必要もありません。
短めのジョギングを行う日、少し長く走る日、休養する日などを組み合わせることで、トレーニングに強弱をつけることができます。

大会日から逆算してトレーニングを組む
参加するフルマラソンが決まったら、大会日から逆算して大まかなトレーニング計画を立ててみましょう。
考え方としては、次のように段階を分けると整理しやすくなります。
| 段階 | 主な目的 | トレーニング例 |
|---|---|---|
| 準備期 | 運動習慣を作る | ウォーキング、短時間のジョギング |
| 基礎期 | 走り続けられる時間を延ばす | ゆっくりしたジョギング |
| 持久力向上期 | 長時間動ける身体を作る | ロング走など |
| 実践期 | 大会を想定する | ペース、ウェア、給水・補給食などを試す |
| 調整期 | 疲労を抜いて本番へ備える | 練習量を調整し体調を整える |
これは「○週間ずつ行えば必ず完走できる」という意味ではありません。
現在の走力や大会までの期間に合わせて、それぞれの段階を調整してください。
また、仕事が忙しい週や体調が優れない日に、予定していた練習をすべて消化しようとする必要はありません。
計画通りに走ることより、本番まで継続できることを優先するのが初心者のフルマラソントレーニングでは重要です。
初心者向けフルマラソントレーニングの基本
フルマラソンの練習というと、長い距離をひたすら走るイメージがあるかもしれません。
しかし、初心者が毎回長距離を走る必要はありません。
まずは「走る習慣」を作り、そこから持久力を少しずつ高めていきます。
まずは走る習慣をつくる
初心者が最初に意識したいのは、1回の練習で長距離を走ることよりも、無理のない範囲で運動を継続することです。
最初の数回だけ頑張って走り、その後疲労や痛みで何週間も休んでしまえば、継続的なトレーニングにつながりません。
週の中に「走る日」と「休む日」を作り、自分の生活の中にランニングを組み込んでいきましょう。
忙しい人は、休日だけ極端に長く走るより、平日に短時間でも身体を動かせる日を作れるか考えてみるのもよいでしょう。
ゆっくり走るジョギングを基本にする
フルマラソン完走を目指す初心者が、毎回全力に近いペースで走る必要はありません。
むしろ、基礎づくりの段階では、無理なく継続できるゆっくりしたジョギングを取り入れやすいでしょう。
「1kmを何分で走ればいい」という数字だけにこだわらず、その日の体調や走力に合わせてペースを調整します。
特に初心者は、周囲のランナーに追い抜かれると無意識にペースを上げてしまうことがあります。
練習の目的は他のランナーと競うことではありません。予定していた運動を無理なく終えられるペースを意識しましょう。

長い時間・距離を走るロング走
基礎的なランニングに慣れてきたら、普段より長い時間や距離を走る「ロング走」を取り入れる方法があります。
ロング走では、速さを競うことより、長時間身体を動かす経験を積むことがポイントです。
長く走ることで、後半に脚が疲れてくる感覚や、給水・補給が必要になるタイミング、ウェアやシューズの気になる部分など、本番につながるさまざまな発見があります。
ただし、ロング走を始めたからといって、いきなり20km、30kmと距離を延ばす必要はありません。
その時点で無理なく走れる範囲から少しずつ経験を積み、終了後の疲労や翌日の状態も確認しましょう。

ペースを意識した練習
ある程度ランニングに慣れてきたら、ただ走るだけでなく、自分がどのくらいのペースなら余裕を持って走れるのかを知っておくことも役立ちます。
本番で周囲につられて序盤から速く走りすぎると、後半に大きくペースを落とす原因になることがあります。
普段の練習から、走った距離、時間、体感的なきつさなどを確認しておくと、自分に合ったペースを考える材料になります。
ただし、初心者が毎回タイムを縮めようとする必要はありません。「今日はゆっくり走る日」と目的を決めることも大切です。
休養もトレーニングの一部
「休んだら体力が落ちるのでは?」と不安になり、毎日走ろうとする初心者もいます。
しかし、フルマラソンへ向けた準備では、練習だけでなく休養や睡眠も重要です。
疲労が強い状態で無理に距離を重ねれば、フォームが崩れたり、痛みを抱えたまま走ったりする原因にもなります。
予定していた練習日に強い疲労や痛みを感じるなら、「メニューを消化すること」より身体の状態を優先しましょう。
走る・休む・食べる・眠る。このサイクル全体をフルマラソンのトレーニングと考えることが大切です。
次は、これらの基本を実際の練習へ落とし込むために、初心者が取り入れやすいフルマラソンのトレーニングメニュー例と、「30km走は本当に必要なのか?」という疑問について詳しく見ていきます。

初心者向けフルマラソン練習メニュー例
フルマラソン初心者のトレーニングでは、「大会○ヶ月前だから今日は○km走る」と距離だけで考えるより、現在の走力に応じて段階的に練習内容を変えていくことが大切です。
ここでは、フルマラソン完走を目指すときの流れを「準備期」「基礎期」「持久力向上期」「実践期」「調整期」の5段階に分けて紹介します。
なお、以下はあくまで練習を組み立てるための考え方です。年齢、運動歴、現在の走力、体調、大会までの期間などによって適切な運動量は変わります。
| 段階 | 主な目的 | 練習の考え方 |
|---|---|---|
| 準備期 | 運動習慣を作る | ウォーキング+短時間のジョギング |
| 基礎期 | 走り続けることに慣れる | ゆっくりしたジョギングを中心に継続 |
| 持久力向上期 | 長時間動ける身体を作る | 普段より長いロング走を取り入れる |
| 実践期 | 大会本番を想定する | ペース・ウェア・給水・補給食などを確認 |
| 調整期 | 疲労を抜く | 練習量を調整して大会へ備える |
準備期|ウォーキング+ジョギング
これまで運動習慣がなかった人は、いきなり「週○km走る」といった距離目標を設定する必要はありません。
まずはウォーキングから始め、一定時間身体を動かす習慣を作ります。
ウォーキングに慣れてきたら、途中に短時間のジョギングを入れてみましょう。
たとえば「歩く→少し走る→再び歩く」という方法でも構いません。
途中で歩いたから練習失敗、ということではありません。最初の段階では、無理に走り続けるよりも継続して身体を動かす習慣を作ることを優先します。
運動後や翌日に強い疲労・痛みが残る場合は、運動時間や強度を見直しましょう。

基礎期|無理なく走れる時間を延ばす
ジョギングに慣れてきたら、少しずつ連続して走れる時間を延ばしていきます。
この段階でも「速く走ること」が最優先ではありません。
毎回タイムを更新しようとすると、自然と練習強度が高くなり、疲労が蓄積しやすくなります。
フルマラソン完走を目指すのであれば、速さだけでなく、無理のないペースで身体を動かし続けられる基礎を作ることが重要です。
また、「昨日走れたから今日も同じ距離を走る」と毎日繰り返す必要もありません。
走る日と休養日を組み合わせ、疲労が回復しているか確認しながら継続しましょう。
持久力向上期|ロング走を取り入れる
一定時間のジョギングを継続できるようになったら、普段より長い時間や距離を走るロング走を取り入れます。
ロング走の目的は、単純に走行距離の数字を増やすことだけではありません。
- 長時間身体を動かす感覚を経験する
- 後半に脚が疲れてくる感覚を知る
- どの程度のペースなら長く走れるか確認する
- 給水するタイミングを試す
- 補給食を実際に試す
- シューズやウェアによる擦れなどがないか確認する
といった、本番へつながるさまざまな経験を積む機会になります。
距離を延ばす場合も、一度に大幅に増やすのではなく、その日の体調やそれまでの練習状況を見ながら調整してください。
ロング走をした翌日に強い疲労が残っている場合は、予定していた練習を変更して休養するなど、柔軟に対応しましょう。

実践期|大会を想定した補給やウェアも試す
大会が近づいてきたら、「走る能力」だけでなく、本番を想定した準備もトレーニングに取り入れていきます。
特に確認しておきたいのが、シューズ、ソックス、ウェア、給水、補給食などです。
長時間走って初めて「このウェアは脇が擦れる」「このソックスは足に合わない」「この補給食は走りながら食べにくい」と気づくことがあります。
本番当日に初めて使用するのではなく、事前の練習で試しておくと安心です。
また、参加する大会の給水所や給食、コース、高低差などが公開されている場合は、公式情報を確認しておきましょう。
大会で提供されるものだけに頼るのか、自分でも補給食を携帯するのかなども、練習段階で考えておくと本番の行動をイメージしやすくなります。
調整期|大会直前は疲労を抜く
大会が近づくと、「まだ走り込みが足りないのでは?」と不安になり、急に練習量を増やしたくなるかもしれません。
しかし、大会直前に強いトレーニングを追加すると、疲労や筋肉痛を本番まで残してしまう可能性があります。
直前期は、それまで積み重ねてきたトレーニングを土台に、練習量を調整しながらコンディションを整えていきます。
「直前に頑張った分だけ本番で速くなる」と考えるのではなく、練習で蓄積した疲労を本番までに残さないことも意識しましょう。
初心者向け|現在の走力別トレーニング具体例
「初心者向け」といっても、現在まったく走っていない人と、すでに10kmを走れる人では適した練習内容が異なります。
そこで、現在の運動習慣・走力別に3つの具体例を紹介します。
以下はあくまで練習の組み立て方をイメージするためのモデルケースです。すべての人が同じ期間・距離で進める必要はありません。
運動後や翌日に強い疲労・痛みが残る場合は、距離や時間を減らしたり、休養日を増やしたりして調整してください。
具体例① ほとんど運動していない初心者
普段ほとんど運動しておらず、「いきなり数km走るのは不安」という人は、まずウォーキングと短時間のジョギングを組み合わせるところから始めます。
| 段階 | 練習例 | ポイント |
|---|---|---|
| 最初 | 30分前後のウォーキング | まず身体を動かす習慣をつくる |
| 慣れてきたら | 5分歩く+数分ゆっくり走るを繰り返す | 連続して走れなくても問題なし |
| さらに慣れたら | ジョギングする時間を少しずつ増やす | 速さより継続時間を意識 |
| 余裕が出たら | 週末などに普段より少し長く身体を動かす | 長時間運動することに慣れる |
たとえば最初は、
- 月曜日:休養
- 火曜日:30分ウォーキング
- 水曜日:休養
- 木曜日:ウォーキング+短時間ジョギング
- 金曜日:休養
- 土曜日:少し長めのウォーキング+ジョギング
- 日曜日:休養または軽いウォーキング
という形でも構いません。
「途中で歩いたから失敗」と考えず、まず運動を継続することを目標にしましょう。

具体例② 5km程度なら走れる初心者
すでに5km程度を無理なく走れる人は、普段のジョギングを継続しながら、週末などに少し長めのランニングを取り入れていきます。
| 曜日 | 練習例 |
|---|---|
| 月 | 休養 |
| 火 | ゆっくり30〜40分程度ジョギング |
| 水 | 休養または軽い筋トレ |
| 木 | 5km前後を無理のないペースで走る |
| 金 | 休養 |
| 土 | 普段より長めのランニング |
| 日 | 休養またはウォーキング |
この段階では、毎週必ず距離を増やす必要はありません。
たとえば、ある週に8kmを走って疲労が強く残ったなら、翌週も同じ距離にする、あるいは短くする判断があって構いません。
無理なく走れるようになってから、少しずつ「長く身体を動かす日」を作っていきます。

具体例③ 10kmを無理なく走れる初心者
10km程度を無理なく走れる人なら、フルマラソンに向けてロング走や本番を想定した補給練習を取り入れやすくなります。
| 曜日 | 練習例 | 目的 |
|---|---|---|
| 月 | 休養 | 週末の疲労回復 |
| 火 | ゆっくりジョギング | 基礎づくり |
| 水 | 軽い筋トレまたは休養 | 補助的な身体づくり |
| 木 | 普段のジョギング | 走る習慣の維持 |
| 金 | 休養 | ロング走へ備える |
| 土 | ロング走 | 持久力・補給・装備の確認 |
| 日 | 休養または非常に軽い運動 | 回復 |
ロング走では距離だけを追うのではなく、
- ペースを上げすぎていないか
- 給水するタイミング
- 補給食を問題なく摂れるか
- 後半にどの程度脚が疲れるか
- シューズやウェアで擦れが起こらないか
なども確認しておきましょう。
この段階でも「10km走れるから来週は20km」というように、一気に距離を倍にする必要はありません。

具体例④ 仕事が忙しく週2回しか走れない場合
「平日は仕事でほとんど走れない」という人もいるでしょう。
週2回しか練習日を確保できないからといって、その2日間をどちらも限界まで追い込む必要はありません。
| 日 | 練習例 |
|---|---|
| 平日1日 | 短めのゆっくりしたジョギング |
| 休日1日 | 体力に合わせた長めのランニング |
さらに、走れない日でも、通勤や買い物で歩く、階段を使うなど、日常生活の身体活動を増やす方法があります。
ただし、フルマラソンを完走するには長時間走る経験も重要です。
大会までの準備期間に対して練習時間が十分確保できない場合は、「エントリーしたから必ず走る」と無理をせず、現在の準備状況も含めて出場を判断しましょう。
具体例⑤ 初めてのロング走はどうすればいい?
たとえば普段5〜8km程度を走っている人が、初めて普段より長い距離へ挑戦する場合を考えてみましょう。
大切なのは「今日は絶対○km走り切る」と決めつけないことです。
- 最初からゆっくりしたペースで走る
- 途中で水分補給する
- 必要なら歩きを入れる
- 痛みや強い疲労があれば切り上げる
- 終了後だけでなく翌日の疲労も確認する
という流れで構いません。
最初のロング走は「距離記録を更新するテスト」ではなく、長く走ったときに自分の身体がどのように変化するかを確認する練習と考えましょう。

具体例⑥ ロング走で補給食を試す場合
ロング走の時間が長くなってきたら、大会本番で使用予定の補給食を試してみます。
たとえば、エネルギージェルを携帯する場合でも、「ランナーに人気だから」という理由だけで本番使用を決めるのではなく、練習中に実際に確認します。
- 走りながら袋を開けられるか
- 味が濃すぎないか
- 口の中がべたつかないか
- 水と一緒に摂る必要があるか
- 胃腸に違和感が出ないか
- ウェアやポーチに入れて走りやすいか
などを試します。
こうした確認は、本番で補給トラブルを減らすためにも役立ちます。
具体例⑦ 大会2週間前に「走り込み不足」と感じた場合
初心者が特にやってしまいやすいのが、大会直前になって焦って走行距離を増やすことです。
たとえば大会2週間前に「最長15kmしか走っていない」と気づいても、そこから急に30km走を追加することが最善とは限りません。
直前に大きな負荷をかければ、筋肉痛や疲労、痛みが大会まで残ってしまう可能性があります。
このような場合は、
- 今までの練習量を大きく超える走り込みをしない
- 体調管理を優先する
- 大会では序盤から無理なペースで走らない
- 必要なら歩きを入れることも想定する
- 当日の体調次第では出場中止も選択肢にする
といった現実的な判断が重要です。
具体例⑧ 初マラソン当日のペース配分
スタートすると、周囲のランナーにつられて普段より速いペースになることがあります。
たとえば練習では「余裕を持って走れるペース」を意識していたのに、スタート直後だけ周囲に合わせて速く走ると、後半の負担が大きくなることがあります。
初フルマラソンでは、
- スタート直後は周囲につられすぎない
- 練習で確認した余裕のあるペースを意識する
- 給水所を必要に応じて利用する
- 補給も練習で試した方法を基本にする
- 後半に余裕があれば状況に応じて調整する
という考え方ができます。
初マラソンでは、序盤の数kmで数分短縮することより、後半まで大きく崩れず進めることを優先するとよいでしょう。

初心者は「できた距離」だけで成長を判断しない
マラソン練習を始めると、「今日は10km走れた」「まだ20kmしか走れていない」と、どうしても距離に目が向きます。
しかし、初心者の場合は距離以外にも確認したい変化があります。
- 以前より同じ時間を楽に走れるようになった
- 走った翌日の疲労が軽くなった
- 途中で歩く回数が減った
- 給水・補給の方法が分かってきた
- 一定のペースで走れるようになった
- 無理をせず休養を入れられるようになった
こうした変化も、フルマラソン完走へ向けた大切な成長です。
初心者のフルマラソントレーニングでは、「今日は何km走ったか」だけでなく、「無理なく継続できているか」を成長の基準にすることも大切です。
「具体的に1週間をどう組み立てればいいの?」という人のために、考え方の一例を紹介します。
ただし、以下は距離やペースを指定するものではありません。現在の走力に合わせて、ジョギングの時間やロング走の距離を調整してください。
| 曜日 | メニュー例 | 目的 |
|---|---|---|
| 月 | 休養 | 週末の疲労を回復 |
| 火 | ゆっくりジョギング | ランニング習慣・基礎づくり |
| 水 | 休養または軽い運動 | 疲労を調整 |
| 木 | ジョギング | 継続して走る |
| 金 | 休養 | 疲労回復 |
| 土 | ロング走など | 持久力・本番対策 |
| 日 | 休養または軽い運動 | 回復を優先 |
これは「週3回走らなければならない」という意味ではありません。
運動習慣がまだ十分でない人なら、ランニング回数を減らしてウォーキングを組み合わせてもよいでしょう。
逆に、すでに定期的に走っている人なら、現在の練習内容をベースに調整できます。
仕事や家庭の都合で土日にロング走ができない場合は、曜日を入れ替えても構いません。
重要なのは曜日そのものではなく、負荷の高い練習ばかりを連続させず、回復する時間も確保することです。

フルマラソン初心者は30km走をやるべき?
フルマラソンの練習方法を調べていると、よく登場するのが「30km走」です。
42.195kmを走るためには、本番前に30km程度を経験しておいた方がよいと考える人もいるでしょう。
一方で、初めてフルマラソンに挑戦する人にとって、30kmを走ること自体が大きな負荷になる場合もあります。
そのため、30km走を「全員が必ず達成しなければならない完走条件」と考える必要はありません。
30km走は「絶対に必要」ではない
「30km走をしていないからフルマラソンを完走できない」「30km走さえできれば必ず完走できる」という単純な関係ではありません。
ロング走でどこまで距離を延ばすかは、それまでの走行距離、経験、走力、体調、大会までの残り期間などを考えて判断する必要があります。
特に、それまでの最長距離から急激に距離を延ばして30kmへ挑戦することは避けたいところです。
「30kmという数字を達成すること」ではなく、そこへ至るまでのトレーニングを継続できているかを重視しましょう。
長時間走る経験にはメリットがある
30kmという距離を必須にする必要はない一方、普段より長時間走る経験には、本番へ向けたメリットがあります。
- 長時間の運動でどの程度疲れるか分かる
- 後半にフォームがどう変化するか確認できる
- 水分補給の方法を試せる
- 補給食を摂るタイミングを試せる
- シューズやソックスによるトラブルを確認できる
- 長時間走ることへの心理的な不安を減らせる
こうした経験は、本番で「初めて起こること」を減らすことにつながります。
距離だけでなく、「長時間走ったときに自分の身体や装備がどうなるのかを知る練習」と考えるとよいでしょう。
距離を急激に増やさない
フルマラソンが近づくと、「まだ20kmしか走ったことがないから、今週は一気に30km走ろう」と焦ってしまうことがあります。
しかし、これまで経験していない長距離を突然走れば、筋肉や関節などへの負担も大きくなります。
ロング走は、現在の練習量を基準に段階的に取り入れることが基本です。
走行距離を増やすことだけを優先せず、運動後や翌日にどの程度疲労が残っているかも確認してください。
疲労を残すほどのロング走は避ける
30kmを走れたとしても、その後何日も強い痛みや疲労が続き、通常のトレーニングができなくなってしまえば、練習計画全体に影響します。
特に大会直前になってから、「最後に自信をつけたい」という理由で無理な長距離走を追加することには注意が必要です。
ロング走は「自分を限界まで追い込むテスト」ではありません。
本番まで継続できる範囲で持久力と経験を積むためのトレーニングと考えましょう。
マラソントレーニングで筋トレは必要?
フルマラソンの練習というとランニングばかりに目が向きますが、筋力トレーニングを組み合わせる方法もあります。
ただし、筋トレをすれば自動的にフルマラソンが速くなるという単純なものではありません。
初心者の場合は、ランニングそのものに身体を慣らすことを基本としながら、無理のない範囲で補助的に取り入れるとよいでしょう。
ランニングだけに偏らない
フルマラソンでは長時間にわたって同じような動作を繰り返します。
ランニング練習を中心にしながら、スクワットなどの下半身トレーニングや体幹を意識した運動を補助的に行う方法があります。
ただし、これまで筋トレをしていなかった人が、大会直前になって急に高負荷のトレーニングを始める必要はありません。
新しい運動を追加するときも、ランニングと同じように少しずつ慣らしていきましょう。
下半身だけでなく体幹も意識する
ランニングでは脚だけを使っているように見えますが、身体を安定させながら走り続けるためには体幹部も関わります。
スクワットやランジなどの下半身を使う種目に加え、プランクなどを補助的に取り入れる方法があります。
ただし、フォームが崩れるほど回数を増やす必要はありません。
筋トレに慣れていない人ほど、最初は正しい動作を覚えることを優先しましょう。
筋トレ翌日のランニング負荷を調整する
下半身の筋トレを行った翌日に強い筋肉痛がある状態で、さらに長距離走や負荷の高いランニングを行えば、思うように身体を動かせないことがあります。
筋トレとランニングを組み合わせる場合は、それぞれを別々に考えるのではなく、1週間全体の負荷を見ながら配置しましょう。
たとえばロング走の直前に強い下半身トレーニングを入れないなど、重要なランニング練習とのバランスを考えます。
大会直前に強い筋肉痛を残さない
大会直前は、ランニングだけでなく筋力トレーニングの負荷にも注意が必要です。
普段行っていない種目や高負荷の筋トレを急に行い、強い筋肉痛が残った状態でスタートラインに立つのは避けたいところです。
本番が近づいたら「最後に身体を鍛える」という発想よりも、これまでのトレーニングで蓄積した疲労を調整し、良いコンディションで大会を迎えることを優先しましょう。
フルマラソンの練習は「たくさん走った人が勝ち」ではありません。走る・筋トレする・休むという負荷と回復のバランスを取りながら、本番まで継続することが重要です。
そして、フルマラソン完走を支えるのはトレーニングだけではありません。長時間身体を動かすためには、普段の食事や水分補給、本番を想定した補給食の準備も重要になります。次は、マラソン練習中の食事・水分補給と、初心者が迷いやすいカーボローディングについて詳しく見ていきます。

マラソン練習中の食事と水分補給
フルマラソン完走を目指すなら、走る練習だけでなく、日々の食事や水分補給も重要です。
特にロング走では、普段より長時間身体を動かすため、エネルギーや水分が不足すると後半に大きくペースを落としたり、体調を崩したりすることがあります。
ただし、「マラソンだから特別な食事をしなければならない」と考える必要はありません。
まずは普段の食事を整え、そのうえで長時間のトレーニングや大会本番に必要な補給方法を練習中に試していきましょう。
普段の食事を基本にする
マラソン練習中は、「糖質をたくさん食べればよい」「プロテインを飲めばよい」と特定の栄養素だけに偏らないことが大切です。
ご飯やパン、麺類などの主食、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜、野菜などの副菜を組み合わせながら、バランスのよい食事を意識しましょう。
ランニングでは糖質が重要なエネルギー源になりますが、身体づくりや疲労回復にはたんぱく質をはじめ、各種栄養素も必要です。
日本陸上競技連盟でも、日々の食事を基本としながら、必要に応じて補食などで糖質やたんぱく質を補う考え方が示されています。
糖質だけでなくたんぱく質なども摂る
マラソンというと、「糖質=エネルギー」というイメージが強いかもしれません。
確かに糖質はランニング中の重要なエネルギー源ですが、トレーニング後の身体を回復させるためには、たんぱく質なども含めた食事が重要です。
長い距離を走った後に食欲が落ちる人もいますが、完全に食事を抜いてしまうのではなく、食べやすいものから摂ることを考えましょう。
また、普段の食事で不足しやすい場合は、必要に応じてヨーグルト、牛乳、バナナ、おにぎりなどを補食として活用する方法もあります。
ただし、補食だけに頼るのではなく、基本は日々の食事全体を整えることです。
ロング走では本番用の補給食を試す
フルマラソンでは、長時間身体を動かし続けるため、途中で補給食を利用する人も多くいます。
エネルギージェル、ようかん、バナナ、スポーツドリンクなど、補給方法にはさまざまな選択肢があります。
ここで重要なのは、大会当日に初めて補給食を試さないことです。
同じ商品でも、「甘すぎて走りながら食べにくい」「胃が重くなる」「水と一緒でないと飲み込みにくい」など、人によって相性があります。
ロング走などで実際に試し、
- どの商品なら食べやすいか
- どのくらいのタイミングで摂るとよいか
- 水と一緒に摂った方がよいか
- 胃腸に問題が出ないか
- 携帯しやすいか
などを確認しておきましょう。
のどが渇く前から水分補給を意識する
長時間のランニングでは、発汗によって身体から水分が失われます。
特に暑い時期や湿度の高い環境では、発汗量が増えやすくなります。
日本陸上競技連盟も、運動前後の水分摂取や、状況に応じたトレーニング中の給水の重要性を示しています。
ただし、「とにかく大量に水を飲めばよい」という意味ではありません。
発汗量は気温、湿度、運動強度、体格などによって変わります。また、長時間運動では水分だけでなく電解質の補給も関係します。
練習中から、自分がどの程度汗をかくのか、どのくらいの間隔で給水すると走りやすいのかを確認しておきましょう。
暑い時期は熱中症にも注意
夏や気温の高い時期にマラソントレーニングを行う場合は、走行距離だけでなく暑さへの対応も重要です。
気温や湿度が高い日は、普段より同じペースでも身体への負担が大きくなることがあります。
時間帯を変更する、運動強度を下げる、距離を短くするなど、その日の環境に応じて調整しましょう。
また、日本陸連のコンディショニングに関する情報でも、暑熱環境下では事前から水分状態を意識し、尿の色などを自分の脱水状態を確認する目安として利用する考え方が紹介されています。

「予定していた距離だから」と、暑さや体調を無視して走る必要はありません。
カーボローディングは初心者にも必要?
フルマラソン前の食事について調べると、「カーボローディング」という言葉を目にすることがあります。
これは、運動に使われるエネルギー源のひとつであるグリコーゲンを身体に蓄えることを目的として、糖質摂取を調整する方法です。
しかし、初心者が「大会前だから、とにかく大量に炭水化物を食べればいい」と単純に考えるのはおすすめできません。

「大会1週間前から糖質を増やす」と単純化しない
カーボローディングにはさまざまな方法がありますが、「1週間前になったらご飯や麺を大量に食べる」というものではありません。
大会前はトレーニング量そのものを調整するため、食事量だけを大きく増やせば、身体が重く感じたり胃腸に負担がかかったりすることもあります。
日本陸上競技連盟の栄養Q&Aでも、大会前日は練習量が減ることを踏まえ、脂質を摂りすぎず、消化のよい食事を選ぶことが勧められています。
カーボローディングを取り入れる場合も、インターネットで見つけた方法を本番直前に初めて試すのではなく、事前に自分の体調への影響を確認しておくことが大切です。
前日に急に食生活を変えない
「明日はフルマラソンだから」と、普段食べていない量のパスタやご飯を大量に食べる必要はありません。
普段と大きく違う食事をすると、胃もたれや腹部不快感などにつながる可能性があります。
大会直前は、これまでの練習で問題なく食べられていた食事を基本にする方が安心です。
特に遠征先では、旅行気分で普段とは違う食事を選びたくなることもありますが、「本番前に初めて食べるもの」を増やしすぎないようにしましょう。
脂質の摂りすぎや食べすぎにも注意
大会前だからエネルギーを蓄えようとして、揚げ物、焼肉、カツ丼などを大量に食べるのも考えものです。
脂質の多い食事は消化に時間がかかる場合があります。
日本陸連でも、試合前日・前々日は脂質を摂りすぎないこと、腹八分目を意識することなどが紹介されています。
「たくさん食べれば走れる」というより、翌朝に胃腸の状態を含めて走りやすいコンディションを作れるかを考えましょう。
初めて試す食べ物を大会直前に選ばない
これは補給食と同じ考え方です。
「ランナーに人気だから」「大会前におすすめと聞いたから」という理由だけで、普段食べていない食品やサプリメントを本番直前に初めて試すのは避けたいところです。
人によって胃腸への影響や食べやすさは異なります。
大会当日に使うものは、食事、飲み物、補給食を含め、できるだけ練習段階で試しておきましょう。

フルマラソン大会1週間前の過ごし方
大会1週間前になると、「練習が足りなかったのでは?」という不安が強くなりやすいものです。
しかし、残り1週間で急激に走力を高めようとしても、強い疲労や筋肉痛を残してしまう可能性があります。
直前期は「さらに鍛える期間」というより、これまでのトレーニングを本番で発揮できる状態へ整える期間として考えましょう。
直前に走り込まない
大会1週間前になってから、突然これまでの最長距離を更新する必要はありません。
特に「30kmをまだ走っていないから」と、直前に無理なロング走を追加することは避けたいところです。
大会までに回復できないほどの疲労を残せば、本番のパフォーマンスにも影響します。
不安を解消するための練習より、これまで積み上げてきたものを信じてコンディションを整えることを優先しましょう。
練習量を調整して疲労を抜く
直前期には、普段より練習量を調整し、身体の疲労を軽減していきます。
完全に何日も動かない方がよいか、軽いジョギングを行う方がよいかは、その人の普段の練習内容や体調によって異なります。
大切なのは、「最後の1週間だから追い込む」のではなく、大会当日に脚が重くならない状態を目指すことです。
睡眠と体調管理を優先する
大会直前は、トレーニングより睡眠や体調管理も重要になります。
寝不足が続いている状態で、「予定していたから」と無理に練習を追加する必要はありません。
日本陸連と日本体力医学会による市民ランナー向けの安全10か条でも、十分な栄養と睡眠をとることが重要なポイントとして示されています。
体調を崩してしまえば、それまで積み重ねてきたトレーニングを本番で活かしにくくなります。
当日のウェア・シューズ・補給食を確認
大会1週間前までには、本番で使う予定のウェアやシューズ、ソックス、補給食などを確認しておきましょう。
特にシューズは、大会当日に新品を初めて履くより、練習で使用してフィット感を確認しておく方が安心です。
また、ウェアも長時間走ると擦れやすい部分が出てくることがあります。
- シューズは問題なく走れるか
- ソックスで靴擦れしないか
- ウェアで擦れる部分はないか
- 補給食は携帯しやすいか
- ランニングウォッチの充電は問題ないか
- 大会当日の天候に合った服装か
などを事前に確認しておきましょう。
フルマラソンは、走力だけでなく「本番でトラブルを減らす準備」も完走を支える重要な要素です。
次は、さらに本番へ近づいて「大会前日」「当日の朝」に何を確認すればよいのか、そして初心者が練習中にやりがちな失敗について整理していきます。

フルマラソン前日にやること
大会前日は、「明日のために最後の調整をしなければ」と落ち着かなくなる人もいます。
しかし、前日にできることは限られています。
この時点では、走力を高めることより、疲労を残さず、忘れ物や移動トラブルを減らし、良い状態でスタートラインに立つことを優先しましょう。
激しいトレーニングをしない
大会前日に長距離走や高強度のトレーニングを追加する必要はありません。
「少しでも不安をなくしたい」という気持ちから走り込みたくなるかもしれませんが、疲労や筋肉痛が残れば本番に影響します。
普段から前日に軽く身体を動かす習慣がある人は、自分の体調を見ながら調整してもよいでしょう。
ただし、大会前日になって普段行っていない刺激の強い運動を始めるのは避けたいところです。

食べ慣れた食事を基本にする
前日の食事は、「マラソンだから特別なものを食べる」のではなく、これまでの練習で問題のなかった食事を基本にしましょう。
糖質を意識することはあっても、一度に大量のご飯や麺を食べる必要はありません。
また、脂質の多い食事や普段食べ慣れていない食品を大量に摂ると、胃腸の負担になる場合があります。
翌朝に食欲が残らないほど食べすぎるのではなく、本番当日に身体を動かしやすい状態を作れるかを考えましょう。

水分補給を意識する
大会前日は、極端な脱水状態で当日を迎えないよう水分補給を意識します。
ただし、直前に一気に大量の水を飲めばよいというものではありません。
普段からこまめに水分を摂り、翌朝の体調も含めて整えておきましょう。
アルコールを飲む習慣がある人も、大会前日は翌日のコンディションを考えて控えるなど、自分の身体を優先するとよいでしょう。

ゼッケンやウェアを準備する
前日のうちに必要な持ち物をまとめておけば、当日の朝に慌てにくくなります。
- ゼッケン・ナンバーカード
- 参加案内・必要な受付情報
- ランニングウェア
- ランニングシューズ
- ソックス
- ランニングウォッチ
- 補給食
- 飲み物
- 帽子やサングラスなど天候に応じた装備
- 防寒・雨天対策用品
- 着替え
大会によって必要なものは異なるため、必ず公式の参加案内も確認してください。

スタート時間・会場までの移動を確認
大会当日に意外と負担になるのが、スタート前の移動や受付です。
前日のうちに、
- 会場までの交通手段
- 最寄り駅・バス停
- 受付時間
- 荷物預けの場所
- スタートブロック
- トイレの位置
などを確認しておきましょう。
特に大規模大会では、最寄り駅から会場までの移動やトイレ待ちに時間がかかることがあります。
「スタート時刻の直前に着けばいい」と考えず、余裕を持った行動計画を立てることが大切です。
「眠れない」と焦りすぎない
初めてのフルマラソン前日は、緊張してなかなか眠れないこともあります。
「8時間眠らなければ失敗」と考えると、かえって焦って眠れなくなることもあります。
大会前夜だけでなく、それまでの数日間を含めて睡眠や生活リズムを整えておくことを意識しましょう。
前夜に多少眠りが浅かったとしても、必要以上に不安にならず、身体を休ませることを優先してください。

フルマラソン当日の朝に確認すること
大会当日の朝は、緊張や時間の制約から普段と違う行動をしやすくなります。
だからこそ、本番で初めて何かを試すのではなく、これまでの練習で問題のなかった方法を基本にしましょう。
朝食と水分を確保する
スタート前に必要なエネルギーを確保するため、食べられる範囲で朝食をとりましょう。
ただし、内容や量は人によって合う・合わないがあります。
大会当日に初めて「ランナー向け朝食」を試すのではなく、ロング走などで事前に確認しておくのがおすすめです。
水分についても、スタート直前に一気に大量摂取するのではなく、余裕を持って補給しておきましょう。
天候・気温とウェアを確認
大会当日は、天気予報だけでなく実際の気温や風、雨などを確認します。
暑い日、寒い日、雨の日では必要な装備が異なります。
特にスタート前は長時間待機することもあるため、走っている最中だけでなく待ち時間の防寒・雨天対策も考えておきましょう。
また、気温が高い場合はタイム目標より安全を優先し、ペースを調整することも重要です。
トイレ・荷物預け・スタートブロックを確認
会場へ着いたら、トイレや荷物預け、スタートブロックなどを確認します。
参加人数の多い大会では、トイレに長い列ができることもあります。
時間に余裕を持って行動し、「トイレに並んでいたらスタートブロックに間に合わなかった」という状況を避けましょう。
体調不良なら無理にスタートしない
大会当日の朝は、「ここまで練習したのだから絶対に走りたい」という気持ちが強くなるものです。
しかし、発熱、強い疲労、風邪症状、胸部の不快感、腹痛や下痢などがある状態で無理にスタートすることは避けるべきです。
日本陸上競技連盟の「スタート前チェックリスト」でも、発熱、睡眠不足、食事・水分不足、風邪症状、胸部不快感、腹痛・下痢などが確認項目として挙げられています。
「参加費を払ったから」「ここまで来たから」という理由だけで無理をしないことも、フルマラソンを安全に楽しむための重要な判断です。
初心者がフルマラソン練習でやりがちな失敗
初めてのフルマラソンでは、頑張ろうとするあまり練習をやりすぎてしまうことがあります。
ここでは、初心者が特に注意したい失敗例をまとめます。
毎回速く走る
走るたびにタイムを縮めようとすると、毎回のトレーニングが高強度になりやすくなります。
フルマラソン完走を目指す場合は、ゆっくり走る日、長時間走る日、休養日などを組み合わせましょう。
「速く走らない練習」も必要です。
急に距離を増やす
大会までの残り期間が短くなると、「今週は一気に距離を増やそう」と焦りやすくなります。
しかし、これまで経験していない距離を突然走ると、身体への負担も増えます。
距離だけを目標にせず、練習後の疲労や痛みも確認しながら段階的に進めましょう。
休むと不安になって走り続ける
「1日休むと体力が落ちる」と考え、疲れていても毎日走ってしまう人もいます。
しかし、疲労が強い状態で無理に練習を重ねることが、必ずしも完走への近道になるわけではありません。
休養もトレーニング計画の一部として考えましょう。
痛みを我慢する
練習量が増えると、脚や膝などに違和感を感じることがあります。
「マラソン練習だから痛いのは当たり前」と決めつけて走り続けるのは避けましょう。
痛みが続く場合や強くなる場合は、練習量を見直し、必要に応じて医療機関などへ相談してください。

新しいシューズを本番直前に投入する
大会前に新しいランニングシューズを購入すると、「せっかくだから新品で本番を走りたい」と思うかもしれません。
しかし、フィット感や擦れなどは実際に走らないと分からないことがあります。
本番で使用する予定のシューズは、事前の練習で問題がないか確認しておきましょう。
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補給食を大会当日に初めて試す
大会会場で初めて見つけたエネルギージェルや、友人から勧められた補給食を本番で初使用するのは避けたいところです。
味、食感、胃腸への影響などは人によって異なります。
ロング走などで事前に試しておきましょう。

他人の練習量をそのまま真似する
SNSやランニング仲間から、「毎月300km走っている」「大会前は毎週30km走る」と聞くことがあるかもしれません。
しかし、その人と自分では走歴、年齢、体力、目標タイム、回復力などが異なります。
他人のトレーニングは参考にはなりますが、そのまま自分へ当てはめないようにしましょう。
フルマラソン初心者によくある質問
何ヶ月練習すればフルマラソンを完走できる?
すべての人に共通する期間はありません。
普段ほとんど運動していない人と、すでに10kmを走れる人では必要な準備期間が大きく異なります。
「あと○ヶ月だから大丈夫」と考えるのではなく、現在の走力と大会までの期間を見ながら計画しましょう。
週何回走ればいい?
走る頻度も、現在の運動習慣や体力によって異なります。
初心者が最初から毎日走る必要はありません。
走る日と休養日を組み合わせ、自分が継続できる頻度から始めましょう。
10kmしか走ったことがなくても参加できる?
大会の参加条件を満たしていればエントリー自体は可能な場合がありますが、「10kmを走れる=42.195kmを安全に完走できる」とは限りません。
大会まで十分な期間を確保し、長時間走る経験や給水・補給なども含めて段階的に準備しましょう。
30km走は必要?
30km走を全員必須の条件として考える必要はありません。
ロング走には本番へ向けたさまざまなメリットがありますが、現在の走力から急激に距離を増やすことは避けましょう。
毎日走った方がいい?
初心者がフルマラソン完走を目指すために、必ず毎日走らなければならないわけではありません。
トレーニングと回復のバランスを取り、疲労が強い日は休養することも必要です。
筋トレもした方がいい?
筋力トレーニングを補助的に取り入れる方法はあります。
ただし、ランニング初心者はまず走ることへ身体を慣らすことを基本とし、筋トレを追加する場合も全体の疲労を見ながら調整しましょう。
雨の日はどう練習する?
雨だから必ず屋外を走らなければならないわけではありません。
スポーツジムのトレッドミルを利用したり、自宅で補助的なトレーニングを行ったり、休養日に変更したりする方法があります。
一方、大会本番が雨になる可能性もあるため、安全な条件で雨天ランニングを経験し、ウェアやシューズの感覚を確認しておく考え方もあります。
天候や路面状況を確認し、危険な環境で無理に走らないようにしましょう。
大会前日は走らない方がいい?
前日に完全休養するか、軽く身体を動かすかは、普段の練習習慣や体調によって異なります。
共通して避けたいのは、前日に強い筋肉痛や疲労が残るほど追い込むことです。
本番で良い状態を作ることを優先しましょう。
足や膝が痛いときも練習した方がいい?
痛みを我慢して予定通りの距離を走る必要はありません。
練習量を減らす、休養するなどして様子を見ても痛みが続く場合や、強い痛みがある場合は医療機関などへ相談してください。
参加するマラソン大会の情報も必ず確認しよう
フルマラソンの練習方法だけでなく、実際に参加する大会の特徴を知っておくことも重要です。
スタート時間、制限時間、給水所、給食、コースの高低差、関門、荷物預けなどは大会によって異なります。
たとえば北海道マラソンのように夏季に開催される大会では、コースだけでなく暑さへの対策も重要になります。

また、公道やランニングコースで練習するときは、他の歩行者やランナーへの配慮も必要です。多くのランナーが利用するコースほど、基本的なマナーを確認しておきましょう。

フルマラソン初心者の大会前チェックリスト
- □ 大会の公式案内を確認した
- □ スタート時刻・会場までの移動を確認した
- □ シューズは練習で使用済み
- □ ウェアで擦れなどが起きないことを確認した
- □ 補給食をロング走などで試した
- □ 当日の給水・給食情報を確認した
- □ 天候に合わせた装備を用意した
- □ ゼッケンなど必要なものを準備した
- □ 大会直前に無理な走り込みをしていない
- □ 痛みや体調不良を無視していない
- □ 完走タイムより安全を優先できる
まとめ|フルマラソン完走は「距離」より継続できる準備から
初めてフルマラソンへ挑戦すると、「何ヶ月練習すればいい?」「30km走は必要?」「週何回走ればいい?」など、さまざまな情報が気になるものです。
しかし、初心者の走力や運動習慣は一人ひとり異なるため、すべての人に共通する完走メニューはありません。
まずは現在の自分が無理なくできる運動から始め、
- ウォーキングや短時間のジョギング
- ゆっくり走る習慣
- 長時間身体を動かすロング走
- 給水・補給の練習
- シューズ・ウェアの確認
- 休養・睡眠・食事
- 大会前の調整
を少しずつ積み重ねていきましょう。
フルマラソン完走を目指すうえで大切なのは、「練習で何km走ったか」だけではありません。
本番まで大きな故障を避け、継続してトレーニングできること。そして、給水・補給・装備・体調管理まで含めて準備することが重要です。
大会当日は、それまでの練習を試す日でもあります。
周囲のペースに惑わされず、自分が準備してきたペースと方法を基本に、42.195kmへ挑戦しましょう。
初めてのフルマラソンでは、「速く走る」より「無理なくスタートラインに立ち、安全にゴールを目指す」ことから。継続できる準備の積み重ねが、完走への一番大切な土台です。



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