プールで泳いでいて、壁に着くたびに一度止まり、方向を変えてから再び泳ぎ始めていませんか?
水泳を始めたばかりのころは、それでもまったく問題ありません。しかし、ある程度長い距離を泳げるようになると、次に覚えたくなるのが「ターン」です。
ターンというと、クロールで壁の直前にクルッと回る「クイックターン」を思い浮かべる人も多いでしょう。ただし、水泳のターンはクイックターンだけではありません。壁に手をついて方向転換するタッチターンもあり、初心者ならこちらから練習する方法もあります。
大切なのは、いきなり速く回ろうとすることではありません。「壁への接近」「方向転換」「壁を蹴る」「ストリームラインを作る」「泳ぎに戻る」という一連の動きを、一つずつ身につけることです。
この記事では、水泳のターンのやり方を初心者向けに基礎から解説します。タッチターンとクイックターンの違い、壁を蹴るコツ、ターン後に失速しにくい姿勢、4泳法それぞれのポイント、うまくできないときの改善方法まで順番に見ていきましょう。
水泳のターンとは?初心者が知っておきたい基本
水泳におけるターンとは、プールの壁まで泳いだあと、進行方向を反対側へ切り替えて再び泳ぎ始めるための動作です。
25mプールで50m以上泳ぐ場合には必ず壁で折り返すことになります。そこで毎回立ち止まってしまうと、泳ぎのリズムが途切れてしまいます。スムーズなターンを覚えることで、泳ぎを止めずに次の25mへつなげやすくなります。
水泳でターンを覚えるメリット
ターンを覚えるメリットは、単に「格好よく泳げる」ということだけではありません。
- 壁で止まらず連続して泳ぎやすくなる
- 泳ぎのリズムを維持しやすくなる
- 壁を蹴る力を利用してスムーズに再スタートできる
- 長い距離を泳ぐ練習がしやすくなる
- 水中姿勢やストリームラインを意識するきっかけになる
特にフィットネス目的で水泳をしている人にとって大きいのが、壁に着くたびに運動が途切れにくくなることです。
たとえば25mごとに壁で立ち止まって休んでいると、100m、200mと連続して泳ぐ感覚をつかみにくくなります。ターンができるようになると、壁で折り返す動作も「泳ぎの一部」としてつなげられるようになります。
初心者が最初に覚えたいターンの種類
「ターンを覚えたい」と考えたとき、最初からクイックターンに挑戦する必要はありません。
初心者がまず覚えやすいのがタッチターンです。
タッチターンは、その名前のとおり壁にタッチしてから体の向きを変え、壁を蹴って反対方向へ進む方法です。前転を必要としないため、水中で回転することに慣れていない人でも練習しやすいのが特徴です。
一方、クロールでよく見かけるのがクイックターン(フリップターン)です。壁の手前で前転するように体を回転させ、足を壁につけ、そのまま壁を蹴って折り返します。
初心者の場合は、「タッチターンができなければクイックターンへ進んではいけない」というわけではありません。ただ、方向転換や壁を蹴る感覚を身につけるという意味では、タッチターンから練習するのも有効です。
タッチターンとクイックターンの違い
| 比較項目 | タッチターン | クイックターン |
|---|---|---|
| 基本動作 | 壁にタッチして方向転換 | 壁の手前で前転して方向転換 |
| 難易度 | 比較的取り組みやすい | 慣れるまで練習が必要 |
| 前転 | 基本的に不要 | 必要 |
| 初心者 | 練習を始めやすい | 段階的な練習がおすすめ |
| 特徴 | 動作を確認しながら折り返しやすい | スムーズに折り返しやすい |
健康維持やフィットネスを目的に泳いでいるのであれば、必ずしもクイックターンを習得しなければならないわけではありません。まずは自分が安全に、無理なく連続して泳げるターンを身につけることを優先しましょう。
初心者向け|水泳の基本的なターンのやり方
ここでは初心者が取り組みやすいタッチターンをベースに、ターンの基本動作を確認します。
ターンは「壁に触れて向きを変える」だけではありません。実際には、壁へ近づくところから、壁を蹴って泳ぎ始めるところまでが一連の動作です。
壁に近づくときのタイミングと距離感
初心者が最初につまずきやすいのが、壁との距離感です。
壁が近づくと不安になって急に泳ぎを止めたり、逆に最後まで勢いよく進みすぎて窮屈な姿勢になったりすることがあります。
まずは普段どおり泳ぎながら壁へ近づき、無理なく手が届く位置でタッチできる感覚を覚えましょう。
「必ず壁から○mで動作を開始する」と決めるより、自分の身長や泳ぐスピード、ストロークの長さに合わせて距離感をつかむことが大切です。
壁へのタッチから体を反転させるまでの動き
壁に手が届いたら、タッチした手を支点のようにして体を壁側へ寄せながら、膝を曲げて体をコンパクトにします。
そのまま体を反対方向へ向け、足を壁へ運びます。
ここで重要なのは、壁にしがみついて完全に停止してから向きを変えようとしないことです。最初はゆっくりでも構わないので、「タッチ→体を小さくする→向きを変える→足を壁につける」という流れを意識してみましょう。
壁を蹴るときの姿勢と力の入れ方
方向転換できたら、次は壁を蹴ります。
足が壁についた状態で膝を曲げ、進みたい方向へ体を向けます。そして、脚を伸ばしながら壁を押すように蹴り出します。
このとき「とにかく強く蹴ればいい」と考える必要はありません。体の向きがずれた状態で強く蹴ると、斜め方向へ進んでしまうことがあります。
進行方向へ体を整えてから壁を蹴ることを優先し、慣れてきたら徐々にスムーズな蹴り出しを目指しましょう。
ターン後にストリームラインを作るコツ
壁を蹴った直後は、すぐに腕を回して泳ぎ始めるのではなく、まずストリームラインを作ります。
ストリームラインとは、水の抵抗をできるだけ小さくするために体を一直線に近づけた姿勢です。
- 両腕を頭の先へ伸ばす
- 片方の手をもう片方の手に重ねる
- 頭を腕の間に入れるようにする
- 体をできるだけまっすぐ伸ばす
- 壁を蹴った勢いを利用して水中を進む
ターンは「回る動作」だけに注目されがちですが、壁を蹴った後の姿勢まで含めてターンと考えると上達しやすくなります。
クロールのクイックターンのやり方
タッチターンに慣れてくると、挑戦したくなるのがクロールのクイックターンです。
プールで泳ぎ慣れた人が、壁の直前でクルッと前転して、そのまま勢いよく壁を蹴っている姿を見たことがある人も多いでしょう。
見た目は難しそうですが、一つひとつの動作に分けると練習しやすくなります。
クイックターンとは?タッチターンとの違い
クイックターンは、壁に手をついてから方向転換するのではなく、壁へ到達する直前に水中で前転し、足を壁につけて蹴り返す方法です。
クロールを止めて壁にタッチする動作がないため、泳ぎからターン、蹴り出しまでを連続した動きにしやすいのが特徴です。
ただし初心者にとっては、「どこで回ればいいのかわからない」「鼻に水が入る」「壁に足が届かない」といった問題が起こりやすいため、最初から完成形を目指さないことがポイントです。
壁に近づいてから前転するまでの流れ
クロールで壁へ近づいたら、壁との距離を確認しながら前転の準備に入ります。
基本的なイメージは、あごを軽く引き、頭を水中へ入れながら体を丸めることです。頭だけを無理に回そうとするのではなく、体全体をコンパクトにして回転につなげます。
最初のうちは壁の位置を気にしすぎると動作がぎこちなくなります。そのため、まず壁から離れた場所で前転そのものを練習しておくと、ターン動作へ移行しやすくなります。
足を壁につける位置と姿勢
前転したら、両足を壁へ運びます。
ここで初心者に多いのが、壁へ近づきすぎて膝が窮屈になったり、反対に遠すぎて足が届かなかったりする失敗です。
適切な距離は身長や泳ぐスピードなどによって変わるため、何度か練習しながら「足裏を壁につけ、そこから無理なく脚を伸ばせる位置」を探していきましょう。
毎回同じような位置に足をつけられるようになると、クイックターンは一気に安定してきます。
壁を蹴ってストリームラインにつなげる方法
足が壁についたら、進行方向へ向かって壁を蹴ります。
このときも重要になるのがストリームラインです。腕を頭の先へ伸ばし、体を細長くまとめた状態で蹴り出すことで、壁を蹴った勢いを生かしやすくなります。
初心者は「前転」に意識が集中しがちですが、ターンの目的は回転することではありません。反対方向へスムーズに泳ぎをつなげることが目的です。
そのため、「前転できたら成功」ではなく、「前転→足を壁につける→蹴る→ストリームライン」までを一連の動作として練習しましょう。
クイックターン中の呼吸はどうすればいい?
クイックターンを始めたばかりの人が戸惑いやすいのが呼吸です。
前転するときに鼻へ水が入る場合は、回転中に鼻から少しずつ息を吐くことを意識してみましょう。
また、壁の直前で慌てて大きく息を吸おうとすると、泳ぎのリズムや壁との距離が崩れることがあります。まずはスピードよりも、自分が落ち着いてターンできる呼吸のリズムを身につけることが大切です。
初心者がクイックターンを成功させるコツ
クイックターンがうまくいかないと、「自分には難しい」と感じるかもしれません。しかし、泳ぎながら壁の直前で前転し、足を壁につけて蹴るという複数の動作を一度に行うのですから、最初からスムーズにできなくても不思議ではありません。
一連の動きを分解して練習してみましょう。
最初は壁を使わず水中で前転を練習する
最初の練習では、壁を使う必要はありません。
十分な水深と周囲の安全を確認できる場所で、まず水中で前転する感覚を覚えます。
「まっすぐ回転できる」「回ったあとに自分の向きがわかる」という状態になってから壁を使った練習へ進むと、覚えるべき動作を減らせます。
なお、プールによってはレーンの利用方法やターン練習についてルールが設けられている場合があります。混雑時に同じ場所で繰り返し前転するのは他の利用者との接触につながるため、施設のルールを確認し、周囲の安全を確保して練習してください。
鼻から息を出して水が入るのを防ぐ
前転した瞬間に鼻へ水が入ってしまい、クイックターンが嫌になったという人もいるでしょう。
回転中は鼻から少しずつ息を吐き、鼻へ水が入りにくい状態を作ります。
一気にすべての息を吐き切るのではなく、前転している間に「フーッ」と鼻から息を出す感覚を練習してみましょう。
壁との距離を一定にする
クイックターンを安定させるうえで重要なのが、壁との距離感です。
前転そのものが上手でも、毎回違う位置から回転を始めていると、足が壁につく位置も安定しません。
何度かゆっくり壁へ近づき、「このあたりで回ると足裏が壁につきやすい」という自分なりの位置を探します。慣れてきたら、通常の泳ぎから同じ位置でターンへ移行できるよう練習しましょう。
ターンを速くしようとしすぎない
「クイックターン」という名前から、素早く回転しなければならないと思ってしまうかもしれません。
しかし初心者の段階では、速さよりも毎回ほぼ同じ動作ができることのほうが重要です。
急いで回ろうとして姿勢が崩れれば、壁に足がつかなかったり、斜めに蹴り出したりする原因になります。
「速く回る」より、「小さく回る→足を壁につける→まっすぐ蹴る」を確実に。
この順番で練習し、動作が安定してから少しずつスムーズにつなげていきましょう。
クロール以外のターンのやり方とポイント
ここまでクロールを中心にターンのやり方を紹介してきましたが、水泳のターンは泳法によって動作が異なります。
特に注意したいのが、「どの泳法でもクイックターンをすればいいわけではない」という点です。
背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライには、それぞれの泳ぎからスムーズに折り返すためのターンがあります。さらに競泳では泳法ごとにターンに関するルールがあるため、競技として水泳に取り組む場合は正しい方法を身につける必要があります。
一方、健康維持やフィットネスを目的として泳いでいる初心者であれば、最初から速いターンを目指す必要はありません。まずは安全に壁へ到達し、正しい方向へ体を向けて、壁を蹴って次の泳ぎにつなげることから始めましょう。
背泳ぎのターンのやり方とコツ
背泳ぎはほかの泳法と違い、基本的に上を向いた状態で泳ぎます。そのため初心者にとって難しいのが、壁までの距離を把握することです。
クロールであれば進行方向に壁が見えますが、背泳ぎでは泳ぎながら壁を直接確認し続けることができません。
そこで目安になるのが、プール上部に設置されている背泳ぎ用のフラッグなどです。普段利用しているプールで、フラッグを通過してから壁まで何回くらい腕を動かすと到達するのかを確認しておくと、距離感をつかみやすくなります。
初心者がフィットネスとして背泳ぎをする場合は、まず無理に速いターンをしようとせず、壁との距離を確認しながら安全に折り返す練習から始めましょう。
競泳で使われる背泳ぎのターンでは、壁へ近づいたところで体をうつ伏せ方向へ回転させ、前転するように方向転換して壁を蹴ります。クロールのクイックターンに似た回転動作がありますが、背泳ぎからターンへ入るため、タイミングをつかむ練習が必要です。
- まず壁までの距離感を覚える
- フラッグなどを距離の目安にする
- 毎回ほぼ同じストローク数で壁へ到達できるよう練習する
- ターン後は壁を蹴って進行方向へまっすぐ進む
背泳ぎでは「回転すること」だけではなく、壁との距離を安定させることがターン上達の大きなポイントになります。
平泳ぎのターンのやり方とコツ
平泳ぎでは、クロールのようなクイックターンとは異なり、壁にタッチして方向を変えるターンを行います。
壁へ近づいたら、両腕を前方へ伸ばして壁へタッチします。そこから膝を曲げながら体を壁へ近づけ、進行方向を反対側へ切り替えて足を壁につけます。
基本的な流れを整理すると、次のようになります。
- 平泳ぎで壁へ近づく
- 両手で壁へタッチする
- 膝を曲げながら体をコンパクトにする
- 体の向きを反対方向へ切り替える
- 足を壁につける
- 両腕を前へ伸ばしながら壁を蹴る
- 水中姿勢を整えて次の泳ぎへつなげる
初心者が意識したいのは、壁にタッチしたあとに長く止まらないことです。
最初はゆっくりでも構わないので、「タッチ→体を小さくする→方向転換→壁を蹴る」という一連の流れを途切れさせないように練習しましょう。
また、競泳として平泳ぎを行う場合には、ターン時の壁へのタッチ方法などにルールがあります。自己流の片手タッチを習慣にせず、両手でタッチする基本を身につけておくことが大切です。
バタフライのターンのやり方とコツ
バタフライのターンも、基本的には壁へタッチしてから方向転換するという点で平泳ぎと共通しています。
壁へ近づいたら両手でタッチし、膝を曲げて体を壁へ引き寄せながら方向を変えます。そして足を壁につけ、両腕を進行方向へ伸ばして蹴り出します。
バタフライでは泳ぎそのものの上下動が大きいため、初心者は最後のストロークと壁との距離が合わなくなることがあります。
壁から遠すぎる位置で最後のストロークを終えると、無理に手を伸ばしてタッチすることになります。反対に近づきすぎると、腕や体が窮屈になってスムーズに方向転換できません。
まずはスピードを抑え、自然に両手が壁へ届く距離を覚えるところから始めましょう。
平泳ぎ・バタフライで注意したい両手タッチ
平泳ぎとバタフライのターンを覚えるうえで、特に意識しておきたいのが両手で壁へタッチすることです。
フィットネス目的で泳いでいると、「競技に出るわけではないから、片手でもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、正しい動作を身につけるという意味では、普段の練習から両手で壁へタッチする習慣をつけておくとよいでしょう。
両手でタッチしたあと、ずっと両手で壁につかまっている必要はありません。タッチ後は方向転換へ移り、足を壁につけて次の蹴り出しにつなげます。
クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライではターンの方法が同じではありません。泳法に合ったターンを覚えることが大切です。
ターン後に失速しないための壁の蹴り方
ターンの練習というと「いかにうまく方向転換するか」に意識が向きがちですが、もう一つ重要なのが壁を蹴ったあとの動きです。
せっかくスムーズに方向転換できても、壁をうまく蹴れなかったり、蹴った直後に体が大きく開いたりすると、せっかく得た推進力を生かせません。
ターンを「壁で方向転換する技術」と考えるのではなく、壁へ近づく→方向転換する→壁を蹴る→水中を進む→泳ぎへ戻るまでを一つの動作として考えてみましょう。
壁を蹴る前に体をコンパクトにまとめる
スムーズに方向転換するためには、壁の近くで体をコンパクトにまとめることがポイントです。
体を伸ばしたまま方向を変えようとすると、大きな動きが必要になります。膝を曲げて体を小さくすると、足を壁へ運びやすくなり、次の蹴り出しへ移りやすくなります。
これはタッチターンでもクイックターンでも共通する考え方です。
ただし、必要以上に膝を深く曲げて壁へ近づきすぎると、かえって蹴りにくくなることがあります。
足裏を壁につけた状態から、自然に脚を伸ばせる姿勢を探してみましょう。
壁を蹴る方向を意識する
ターン後に斜めへ進んでしまう人は、「壁を強く蹴ること」ばかりに意識が向いている可能性があります。
壁を強く蹴れていても、体が斜めを向いていれば、その方向へ進んでしまいます。
そこで意識したいのが、「どれだけ強く蹴るか」より「どの方向へ蹴るか」です。
足が壁についたら、次に泳いでいく方向へ頭、腕、胴体を整えます。そのうえで脚を伸ばし、壁から離れていくイメージで蹴り出します。
最初は力を抑えて構いません。毎回ほぼ同じ方向へ進めるようになってから、徐々に蹴り出しを強くしていきましょう。
抵抗を減らすストリームラインの作り方
壁を蹴った直後は、泳いでいるときとは違い、壁を押した力によって体が進みます。この勢いをできるだけ生かすために重要なのがストリームラインです。
基本的な姿勢をもう一度確認してみましょう。
- 両腕を進行方向へ伸ばす
- 左右の手を重ねるようにする
- 頭が大きく上がらないようにする
- 腕の間に頭を収めるイメージを持つ
- 体幹から脚までをできるだけ一直線にする
- 脚を大きく開かない
壁を強く蹴っても、直後に腕や脚が大きく開けば水の抵抗が増えてしまいます。
初心者は「壁を強く蹴る」ことよりも、まず蹴ったあとに体を細長く保つことを意識すると、ターン後の伸びを感じやすくなります。
ストリームラインはターンだけに必要な技術ではありません。水の抵抗を抑える姿勢を身につけることは、泳ぎそのものを見直すきっかけにもなります。
浮き上がりから泳ぎにつなげるタイミング
壁を蹴ってきれいなストリームラインを作れても、そのままずっと水中を進み続けるわけではありません。どこかで通常の泳ぎへ戻る必要があります。
初心者の場合、壁を蹴った直後から慌てて腕を動かし始めてしまうことがあります。しかし、それでは壁を蹴って得た勢いを十分に生かせない場合があります。
反対に、スピードが落ちているのにいつまでも姿勢だけを維持していると、次の泳ぎへスムーズにつながりません。
まずは「壁を蹴る→ストリームラインで伸びる→泳ぎへ移る」という順番を意識してください。
どのタイミングで泳ぎ始めるのがよいかは、泳法や壁を蹴った勢い、泳力などによっても変わります。初心者のうちは距離を決めつけるより、壁を蹴った勢いが残っている感覚と通常の泳ぎへの移行を確認しながら練習するとよいでしょう。
ターンが安定しない原因は、「前転が苦手だから」とは限りません。壁との距離、体の向き、足をつく位置、呼吸など、いくつもの要素が関係しています。
次は、「壁との距離が合わない」「鼻に水が入る」「方向が曲がる」「壁を蹴ってもスピードが出ない」「ターン後に息苦しい」といった初心者に起こりやすい失敗を取り上げ、それぞれの原因と改善方法を詳しく見ていきます。
水泳のターンがうまくできない原因と改善方法
水泳のターンを練習していると、「壁に近づくと動きが止まる」「クイックターンをすると鼻に水が入る」「壁を蹴ってもまっすぐ進めない」といった悩みが出てくることがあります。
しかし、ターンがうまくできないからといって、前転や方向転換だけを繰り返し練習すればよいとは限りません。
ターンは、壁への接近・回転または方向転換・足をつく位置・壁の蹴り出し・ストリームライン・呼吸など、複数の動作によって成り立っています。
うまくいかないときは一連のターンを何度も繰り返すのではなく、どの動作で崩れているのかを確認してみましょう。
壁との距離が合わずターンが詰まる
ターンで特に重要なのが、壁との距離です。
壁へ近づきすぎてからクイックターンを始めると、前転したあとに膝が窮屈になり、足を壁へうまくつけられないことがあります。
反対に壁から遠すぎる位置で回転すると、前転できても足が壁へ届きません。
初心者の場合、「何m手前から回ればいいのだろう?」と考えてしまいがちですが、適切な距離は身長や泳ぐスピード、ストロークの大きさなどによって変わります。
そこで、まずはゆっくりとしたスピードで壁へ近づき、どの位置から回転すると自然に足裏が壁につくのかを確認しましょう。
- 壁に近すぎる → 少し手前から回転を始めてみる
- 足が壁に届かない → 回転を始める位置を少し壁側へ近づける
- 毎回位置が変わる → ゆっくり泳いで同じタイミングから練習する
ターンを速くする前に、まず毎回ほぼ同じ位置で方向転換できる状態を目指しましょう。
前転すると鼻に水が入ってしまう
クイックターン初心者に多い悩みの一つが、「前転すると鼻に水が入って痛い」というものです。
これが何度も続くと、壁へ近づくたびに前転することが怖くなり、ターンそのものを苦手に感じてしまうこともあります。
前転するときは、鼻から少しずつ息を吐きながら回転することを意識してみましょう。
一気に強く息を吐き出すのではなく、回転している間に鼻から息を出し続けるイメージです。
泳ぎながら行うのが難しい場合は、最初からクイックターンを完成させようとせず、壁から離れた場所で水中前転と呼吸だけを練習します。
「前転する→鼻から息を出す」という動作に慣れてから壁を使うことで、覚える動作を一つずつ増やしていけます。
ターンすると方向が曲がってしまう
ターンそのものはできるものの、壁を蹴ったあとに隣のレーン側へ斜めに進んでしまうこともあります。
この場合は、回転だけではなく壁を蹴る直前の体の向きを確認してみましょう。
足を壁につけたときに体が斜めを向いていれば、その状態で強く蹴るほど斜め方向への推進力が生まれてしまいます。
「強く蹴る」ことを優先するのではなく、まず進行方向に対して体を整え、そのあとに壁を蹴ります。
また、水中前転そのものが左右に傾いている場合もあります。壁を使わない前転練習で、回転したあとに毎回ほぼ同じ方向を向けているか確認してみるのも有効です。
ターン後に曲がる場合は、「壁をもっと強く蹴る」のではなく「どの方向を向いて壁を蹴っているか」を確認してみましょう。
壁をうまく蹴れずスピードが出ない
方向転換はできているのに、壁を蹴ってもほとんど進まない場合は、足をつく位置や蹴る姿勢を確認します。
壁に近づきすぎて膝が極端に曲がっていたり、反対に脚が伸びきった状態で足が壁についていたりすると、スムーズに蹴り出しにくくなります。
目安にしたいのは、足裏を壁につけたところから自然に脚を伸ばせる姿勢です。
そしてもう一つ確認したいのが、壁を蹴った直後の姿勢です。
強く壁を蹴ることができても、直後に腕や脚が大きく開いてしまえば水の抵抗を受けやすくなります。
壁を蹴る力だけを大きくしようとするのではなく、「壁を蹴る→ストリームラインを作る」までをセットで練習しましょう。
ターン後に息苦しくなってしまう
クイックターンはできるものの、ターン後に息苦しくなり、そのまま泳ぎ続けられないという人もいます。
クイックターンでは、壁へ近づいてから前転し、壁を蹴って水中を進み、通常の泳ぎへ戻るまで顔を水中に入れている時間があります。
初心者が「きれいなクイックターンをしなければ」と考え、苦しいのに無理に水中姿勢を長く維持する必要はありません。
まずは余裕のあるスピードで泳ぎ、ターン前後を含めて呼吸のリズムを整えることを優先します。
特にフィットネス目的で長い距離を泳ぎたい場合は、ターンの速さよりもターン後も無理なく泳ぎ続けられることが大切です。
息苦しさが強い場合はいったん練習を中止し、十分に休憩してください。体調が悪いときや強い息苦しさがある状態で、無理に水中でのターン練習を続けないようにしましょう。
初心者におすすめのターン練習方法
ターンがうまくできないときにおすすめなのが、完成したターンを何度も繰り返すのではなく、動作をいくつかのステップに分けて練習する方法です。
特にクイックターンは、「泳ぐ」「前転する」「足を壁につける」「壁を蹴る」「姿勢を整える」という複数の動作を連続して行います。
初心者がいきなりすべてを同時に行おうとすると、どこで失敗したのか自分でも分からなくなってしまいます。
そこで、次の5段階に分けて練習してみましょう。
ステップ1|水中で前転する感覚を身につける
クイックターンを覚える場合、最初から壁を使う必要はありません。
まずは水中で前転し、回転する感覚を身につけます。
あごを軽く引き、体をコンパクトにまとめながら回転してみましょう。このとき、鼻から少しずつ息を吐くことも同時に練習します。
最初の目標は速く回ることではなく、「まっすぐ前転して、回転後に姿勢を立て直せること」です。
前転すると左右どちらかへ傾いてしまう場合は、壁を使ったターンへ進む前に、まっすぐ回転できるよう練習しておきましょう。
なお、練習するときは周囲にほかの利用者がいないことを確認し、利用しているプールのルールに従ってください。
ステップ2|壁に足をつける練習をする
水中で前転できるようになったら、次は壁の近くで回転して足をつける練習です。
この段階では、まだ勢いよく壁を蹴る必要はありません。
壁の少し手前から前転して、両足の裏を壁へつけられるかを確認します。
足が届かなければ回転位置が遠すぎる可能性があります。膝が窮屈になるほど壁へ近づいてしまう場合は、回転位置が近すぎる可能性があります。
何度か試しながら、自分が無理なく足を壁につけられる距離を探してみましょう。
この練習によって、クイックターンで重要な「壁との距離感」を身につけていきます。
ステップ3|壁を蹴ってストリームラインを作る
足を安定して壁につけられるようになったら、壁を蹴る動作を加えます。
足を壁につけたら、両腕を進行方向へ伸ばして体を整え、脚を伸ばしながら壁を蹴ります。
このときに意識したいのが、壁を蹴った直後のストリームラインです。
- 前転する
- 足裏を壁につける
- 両腕を進行方向へ伸ばす
- 壁を蹴る
- 体を細長く保って水中を進む
最初は強く蹴らなくても構いません。
壁を蹴ったあとにまっすぐ進めることを優先し、動作が安定してから少しずつ蹴る力を強くしていきましょう。
ステップ4|泳ぎながらターンにつなげる
「前転→壁に足をつける→蹴る」という動作ができるようになったら、いよいよクロールからクイックターンへつなげます。
最初から全力で泳ぐ必要はありません。
ゆっくりしたクロールで壁へ近づき、これまで練習してきた位置から前転します。そして足を壁につけ、ストリームラインを作って蹴り出します。
ここで大切なのは、ターンの直前だけ極端に泳ぎを変えないことです。
壁が近づいた途端に慌てて細かく腕を動かしたり、逆に完全に泳ぎを止めたりすると、せっかく覚えた距離感が変わってしまいます。
最初はゆっくりでも、一定のリズムで壁へ近づいてターンへ入ることを意識しましょう。
ステップ5|一定の距離からターンできるようにする
最後のステップは、ターンを「たまたま成功する動作」から「繰り返しできる動作」へ変えることです。
クイックターンが1回成功しても、次は壁へ近づきすぎ、その次は足が届かないという状態では、まだターンが安定しているとはいえません。
そこで、同じくらいのスピードで壁へ近づき、毎回ほぼ同じ位置からターンへ入る練習をします。
ターンの再現性が高くなってきたら、徐々に普段の泳ぐスピードへ近づけていきましょう。
| 練習段階 | 主な目的 | 意識するポイント |
|---|---|---|
| ステップ1 | 水中前転 | まっすぐ回転する・鼻から息を出す |
| ステップ2 | 壁に足をつける | 自分に合った壁との距離を覚える |
| ステップ3 | 壁を蹴る | ストリームラインでまっすぐ進む |
| ステップ4 | 泳ぎとターンをつなぐ | 慌てず一定のリズムで壁へ近づく |
| ステップ5 | ターンを安定させる | 毎回ほぼ同じ位置からターンする |
クイックターンは、いきなり完成形だけを繰り返すよりも、「前転」「壁との距離」「蹴り出し」「ストリームライン」「泳ぎとの接続」を分けて練習したほうが、自分が苦手としている動作を見つけやすくなります。
また、健康維持や運動不足解消を目的に泳いでいる人は、クイックターンの習得を急ぐ必要はありません。タッチターンを使いながら連続して泳ぎ、余裕が出てきた段階でクイックターンを練習する方法でもよいでしょう。
ターン上達の近道は、速く回ることではなく、一つひとつの動作を安定させ、それらを少しずつつなげていくことです。
ここまで基本動作を身につけても、「初心者でもクイックターンを覚える必要がある?」「鼻をつままないと水が入る?」「ターンすると目が回るのはなぜ?」など、疑問が残る人もいるでしょう。
続いて、水泳のターンについて初心者が抱きやすい疑問をQ&A形式で解説します。
水泳のターンに関するよくある質問
水泳のターンは、実際に練習を始めてみるとさまざまな疑問が出てきます。
特に初心者の場合、「クイックターンまで覚える必要があるの?」「鼻に水が入るのが怖い」「どこから回ればいいのかわからない」と悩むことも少なくありません。
ここでは、水泳のターンを練習するときに初心者が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式で整理します。
初心者でもクイックターンを練習したほうがいい?
水泳を始めたからといって、必ずクイックターンを覚えなければならないわけではありません。
特に健康維持や運動不足解消、体力づくりを目的として泳いでいる人であれば、まずは安全に折り返して連続して泳げることを優先してよいでしょう。
前転することに不安があるなら、タッチターンから始めても問題ありません。
一方で、クロールに慣れてきて「壁で泳ぎを止めたくない」「よりスムーズに折り返したい」と感じるようになったら、クイックターンを練習してみるのもよいでしょう。
初心者の場合は、いきなり泳ぎながら完成したクイックターンを行うのではなく、この記事で紹介したように、水中前転→壁に足をつける→壁を蹴る→泳ぎにつなげるという順番で練習するのがおすすめです。
ターンするときに鼻をつまむ必要はある?
クイックターンでは両手を使って動作するため、基本的には鼻をつままずに前転できるよう練習していきます。
前転すると鼻に水が入ってしまう場合は、回転している間に鼻から少しずつ息を吐くことを意識してみましょう。
最初は「前転」「壁との距離」「足の位置」など多くのことを同時に考えるため、呼吸まで意識できないことがあります。
その場合は壁を使わず、水中前転だけを練習しながら鼻から息を吐く感覚を身につける方法があります。
鼻に水が入ることへの不安が減れば、回転そのものにも集中しやすくなります。
クイックターンで目が回るのはなぜ?
クイックターンを始めたばかりのころは、水中で急に体を回転させる動作に慣れておらず、ターン後に方向感覚が乱れたり、目が回ったように感じたりすることがあります。
そのような状態で無理にターンを繰り返す必要はありません。
まずはゆっくりした前転から練習し、「回転したあとに自分がどちらを向いているのか」を把握できる状態を目指しましょう。
一度に何度も前転を繰り返すのではなく、1回転したら姿勢を整え、方向を確認してから次の練習へ進む方法もあります。
なお、回転をやめても強いめまいや気分の悪さが続く場合は、無理に練習を続けずプールから上がって休憩してください。
ターンは何メートルくらい手前から準備する?
「壁から何m手前でターンを始めればいいのか」は、初心者が気になりやすいポイントです。
しかし、すべての人に共通する「必ず○m手前」という距離を決めることはできません。
ターンを始める位置は、身長、泳ぐスピード、ストロークの大きさ、回転の仕方などによって変わるためです。
クイックターンの場合は、ゆっくり壁へ近づきながら何度か前転し、「ここから回ると無理なく足裏が壁につく」という自分の距離を探していきます。
適切な位置を見つけたら、同じくらいのスピードで壁へ近づき、毎回ほぼ同じ位置からターンできるように練習します。
上達して泳ぐスピードが変われば、ターンへ入るタイミングも変化することがあります。そのため、単純に距離だけを暗記するのではなく、壁との距離を泳ぎながら判断する感覚を身につけることが大切です。
タッチターンだけでも長く泳げる?
タッチターンでも、壁で完全に止まらずスムーズに折り返せるようになれば、連続して泳ぐことはできます。
そのため、健康維持やフィットネスとして水泳を楽しむ場合、「クイックターンができないから長距離を泳げない」と考える必要はありません。
むしろ初心者の段階では、慣れないクイックターンを無理に行うことで呼吸が乱れ、その後の泳ぎが続かなくなることもあります。
まずはタッチターンを使いながら、25m、50m、100mと自分の泳力に合わせて連続して泳ぐ距離を伸ばしていく方法でもよいでしょう。
泳ぐことそのものに余裕が出てきたら、クイックターンの練習を取り入れるという順番でも遅くありません。
まとめ|水泳のターンは基本動作を分けて練習しよう
水泳のターンというと、クロールでクルッと前転するクイックターンをイメージしがちですが、ターンにはタッチターンもあり、泳法によってやり方も異なります。
初心者が大切にしたいのは、最初から速く回ろうとしないことです。
- 壁へ無理なく近づく
- 体をコンパクトにして方向を変える
- 足裏を壁につける
- 進行方向を確認して壁を蹴る
- ストリームラインを作る
- スムーズに通常の泳ぎへ戻る
この一つひとつができるようになってから動作をつなげることで、ターン全体を安定させやすくなります。
特にクイックターンが苦手な人は、泳ぎながら何度も失敗を繰り返すより、「水中前転」「壁との距離」「足をつける」「壁を蹴る」「ストリームライン」と動作を分けて練習してみてください。
また、フィットネスとして水泳を楽しむのであれば、クイックターンの習得を急ぐ必要はありません。まずタッチターンを覚え、壁で長時間止まることなく折り返せるようになるだけでも、連続して泳ぐ練習につなげられます。
慣れてきたらクイックターンにも挑戦し、自分の泳力や目的に合ったターンを身につけていきましょう。
水泳のターンで大切なのは、最初から「速さ」を求めることではありません。「正しく回る・まっすぐ蹴る・泳ぎにつなげる」という基本を繰り返すことが、スムーズなターンへの近道です。
なお、ターン練習を行う際は、利用しているプールのレーン区分や練習ルールを確認し、ほかの利用者との接触に十分注意してください。混雑している場合は無理に同じ場所でターン練習を繰り返さず、安全を優先して水泳を楽しみましょう。


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